LINKA3 導入事例 CASE06

 

生産・納期管理の工数を50%削減!加工実態の見える化×生産管理のkintone集約で見えざるコストを一掃







株式会社関鉄工所 様

「一品一様のモノづくりでは、生産余力が生まれにくく、受注を増やせない」という悩みを多く聞きます。大物旋盤加工の老舗である株式会社関鉄工所(千葉県、以下「関鉄工所」という)も、加工時間の管理に苦労してきた一社でした。

 

同社では、ノーコードツールで生産管理システムを刷新。製造と事務のボトルネックを一挙に解消し、生産管理・納期管理にかかる工数を体感で約半分に削減しました。

 

ポイントは、加工の“最適化”です。設備稼働を監視するIoTシステム「LINKA3 (旧:Nazca Neo Linka)以下:Linka」と業務改善プラットフォームの「kintone(キントーン)(※1)」をシステム連携させた、関鉄工所の取り組みについてお伝えします。

※1)kintoneは、サイボウズ株式会社の登録商標または商標です。

 


【課題】力量はあるのになぜか非効率。
工場全体の生産状況がブラックボックス化していた

 

関鉄工所では、重量物の旋盤加工が主力で、プラントをはじめ発電機、ポンプ、粉砕機などに用いられる大型部品を手がけています。テーブル径1〜3m級のターニングを13台そろえ、5面加工機や5軸加工機なども組み合わせながら、一品一様の精密加工に応えてきました。

大物といっても、機械で一律に加工できるわけではありません。求められるのはミクロン単位の寸法精度。素材の温度による伸縮まで計算し、20度換算の寸法に仕上げていきます。

 



素材を問わず対応。中島飛行機の技師だった初代の技術を受け継ぐ



確かな技術力を誇る同社ですが、「適正な加工時間が定められない」という悩みを抱えていました。2〜3か月先まで受注が埋まるなか、日々お客さまから納期調整の依頼が入ります。そのたびに事務所から現場に進捗を確認しにいき、回答するという手間が発生していました。


関社長

代表取締役社長 関 秀彦 氏

「人によって早かったり、時間がかかったりと、加工時間がばらついていました。一品もので失敗が許されない現場では、スピードより品質が優先されるためです。

この問題を解決するには、技術の『標準化』が必要だと思い、社内勉強会を開いてきました」と、代表取締役社長の関秀彦さま。

過去の実績をもとにノウハウを共有しようと試みたものの、工具や素材も進化し続けるため、昔と同じ作り方が通用しません。代わりに加工時間を記録し、作業員へのフィードバックを図りますが、手書きの日報では正確なデータを集められませんでした。

 

生産管理システムのあり方も原因の1つでした。受注データが作業指示書や工程表と連動しておらず、工場全体の生産状況がブラックボックスになっていたのです。データの分断により業務プロセスも途切れ、社内にさまざまな課題が生じていました。

 

業務領域 課題 状況
製造 稼働実態が見えない 手書き日報のため設備の稼働時間が不正確で、加工・停止の内訳も不明。案件や技量で加工時間がばらつき、適正な基準を定められない
生産管理 情報が連動しない 受注情報が作業指示書や工程表とつながらず、別画面で個別に作成・管理。納期変更のたびに事務所から現場へ確認に行く手間も発生し、納期調整とあわせて1日30〜60分を費やしていた
情報管理 紙と分断 作業指示書・図面は紙で配布し、現場のメモや稼働記録の集計は月1回。作業員は目の前の担当案件しか見えず、前後工程をふまえた調整がしにくい

転機になったのは、図面管理システムのバージョンが更新されなくなるかもしれないとの知らせでした。

「当時、社内サーバーで管理していたこともあり、もっとも大事な資産である図面のデータ消失が心配でした。図面と生産管理をクラウドへ統合しようと決断しました。

展示会で出会った新明和ソフトテクノロジの山本さんは、困りごとを伝えると『こういうことですよね』と、すっと理解して同じ方向を見てくれました。山本さんのせいで決めちゃったんですよ(笑)」と関社長。

検討の後押しになったのが、他社の実例でした。新明和ソフトテクノロジの仲介で、すでにkintoneとLinkaを運用している有限会社相馬シャーリングさま(千葉県)の工場を訪問。構築前に「使いこなしている状態」を見ておくことで、自社にどう落とし込むかの具体像を描けるようにという狙いです。同じ千葉県内で、扱う製品は違えど同じ製造業。システムの話にとどまらず、景気の見通しなど経営者同士の情報交換の場にもなりました。

 

新明和ソフトテクノロジ 
山本 優斗

山本も次のように想いを語ります。

 

「関鉄工所さまは高い技術をお持ちでいながら、データや業務フローが分断され、力をフルに発揮できていない様子でした。設備の稼働状況を見える化したうえで、そのデータを全社の活性化につなげたい――関社長のそんな思いに共感しました」

 

想いを共有できるパートナーを得て、クラウドでのシステム再構築へと動き出したのでした。

 








【導入】全員参加の活動が土台に。
伴走支援でスムーズな定着と効果の発揮を両立

現場の負担や混乱を抑え、ゆるやかな定着を図るため、導入は段階的なアプローチを採用。関鉄工所が独自に続けてきた活動を土台に、次のように進めました。

ステップ 内容

土台づくり

(関鉄工所の取り組み)
エコアクション21で全員が同じ目線で改善を語る土壌づくり
第1段階 LinkaでNCターニング機の稼働を見える化、客観的なデータの自動取得
第2段階 kintoneで社内の情報を一元管理。図面管理はクラウド型へ

 

 

土台|エコアクション21で育んだ「全員参加」の文化

全社員で環境経営「エコアクション21」に取り組み(2018年認証取得)、月1回の環境会議を10年近く継続しています。

 

きっかけは取引先からの勧めでしたが、関社長には別の狙いがありました。年齢もキャリアも異なる社員が、同じ目線で一つのことをやり遂げる場をつくることです。

 

「仕事以外で、全員が対等にかかわれるテーマはなかなかありません。環境なら若い人のほうが知識も意識も高く、発言力も出る。そう考えて取り組みを決めました」(関社長)

 

以来、ごみ削減やグリーン調達などの班に分かれ、環境会議は一度も欠かさず続けてきました。年齢やキャリアを問わず対等に意見を出し合う風土が育ち、「全員で改善を語る土壌」を確立。審査でも「ここまで全員参加で取り組む会社はない」と評価されたといいます。

 

冷却水の使用量を管理するkintoneアプリも、社員発の改善から生まれたものです。こうした空気があったからこそ、現場にシステムをスムーズに導入できました。

環境経営レポート


kintoneを活用した冷却水管理(引用:株式会社関鉄工所 環境経営レポート2024)


第1段階|Linkaで、設備の稼働時間を自動収集

最初に手をつけたのは、設備稼働の見える化でした。主要なNCターニング機とLAN接続し、稼働・加工・停止・アラームの時間を自動で取得します。

背景にあったのは、日報では実態がつかめないという現実です。手書きの記録は、加工に集中していれば後回しになり、思い出しながら書けば精度が落ちます。

 

「責められないんですよ。記録を出すより、目の前の仕事を確実にやるほうが先ですから」(関社長)

結果として、記録そのものが集まらなくなっていました。

 

「機械が回っていた時間さえわかれば、残りは段取りと、考えて止まっていた時間です。段取りは見当がつく。では止まっていた時間は何を悩んでいたのか——そこは本人に聞けますし、データで示せば伝わります」(関社長)

 

3人に1台のタブレットを現場に配置したことで、記録の負担も軽くなりました。集まるデータは、量だけでなく中身も変わったといいます。


第2段階|kintoneによる生産管理システムの刷新

実は関鉄工所には、二十数年前にAccessで製販一貫の仕組みを自作した経験があります。現場に画面を置き、工程管理から経理までをつないだ先進的な取り組みで、当時は取引先が見学に訪れ、写真を撮って帰るほどでした。ただ、OSが変わるたびに作り直しを迫られ、維持を断念した過去があります。

 

だからこそ、次の基盤選びは慎重でした。展示会に行けばノーコードの会社がずらりと並んでいて、何を選べばいいのかわからない。そんな中、新明和ソフトテクノロジではデモを実施出来るということで、まずは小さなアプリを試作するところから始めました。

 

「そんなに高いものではないし、いつでもやめられる。とりあえず作ってみようか、くらいの感覚でした」(関社長)

 

手を動かしたのは、ITに強い若手社員。試すうちに実用に足るアプリが次々と形になり、手応えを得て本格移行へ踏み切りました。

 

「今では『あれも作れる、これも作れる』と社員がアプリを作ってくれます。開発が得意な社員がいたことも、うれしい発見でした」(関社長)

 

事前コンサルでインフラを整理したうえで、受注から生産、売上・請求まで業務フローを統合。図面管理もクラウド型へ移行し、個別URLで商品管理や作業指示書と紐づけました。

kintone連携


受注から図面、現場の工数入力、売上・分析までをkintoneで一元化。
機械から取得した稼働時間はLinkaが自動で収集する



現場のkintone画面


進行中の全案件を進捗順に見られる。顧客・担当者・ステータスなども同画面上で把握可能に



ほかにも、以下のような調整やアプリ構築を行い、システムを作り込みました。


対応項目 内容

「商品番号」による共通キー化

情報管理のキーを「商品番号」に統一し、事務所と現場が同じキーワードで検索・会話できる環境を構築
図面データと製造現場とのリンク 指示書のQRコードを読み込むだけで、現場タブレットから図面や過去の段取り写真・手順メモを参照可能に
社内納期と工程の全体共有 ガントチャートで前後の工程や社内納期を現場と共有し、作業者が自律的にスケジュール調整できる環境を整備
フォーマットの精査 現場で書きやすく、事務所へも即座にデータ連携できる指示書・入力画面のフォーマットへ刷新


作業指示書も充実、1枚で案件の様態がわかる


ただし、システム移行は大がかりなものです。一連の作業を担当した総務部の三須絵里佳さまは、専門的なサポートの必要性について語ります。

「一番大変だったのは膨大にあるデータの整備です。その作業も新明和ソフトテクノロジさんがしっかり伴走してくれたおかげで、何とか無事に完了できました」と、感謝をにじませました。


【成果】社員を信じ、技術を信じた取り組みが奏功。
現場と事務所のコストが大幅減

生産管理システムのボトルネックが解消され、その効果は、業務効率化はもちろんのこと、現場の意識変容や製造オペレーションにまで波及しています。

業務領域 成果 内容

製造

納期を意識して現場で動けるようになった

記録の手間なく正確なデータが蓄積され、作業を振り返る土台ができた。社内納期と工程が共有され、現場から納期を確認する声が増加。過去の実績が次の目標として意識されるようになった
生産管理 管理工数が体感で半減した 受注から工程、納期まで一画面で完結し、画面遷移や転記が不要に。納期管理にかかる時間は従来の3分の1程度。問い合わせにもその場で回答でき、折り返し対応がなくなった
情報管理 紙をなくし、資産に変えられた 「商品番号」を共通キーに統一し、事務所と現場が同じ言葉で検索・会話できる環境へ。指示書のQRコードから図面や過去の段取りメモを参照でき、ノウハウが蓄積されていく

「『先に検査へ回そう』『この間にプログラムを作っておこう』と現場の意識が変わり、会話が変わった」と関社長。結果、待ちや手戻りのロスタイムが削減され、調整のための往復そのものがなくなりました。

 
タブレット上で進捗や納期を確認しながらオペレーションを調整


工場責任者の落合さまは、「新しい方が入社したときの資料として、あるいは工程を振り返って改善に生かすなど、蓄積した情報を生かしていきたい」と意気込みを語ってくださいました。


【展望】AIやロボットにも対応できる魅力的な工場を目指して

 

システム基盤が整った今、関鉄工所では付加価値の創出にも向き合っています。アイデアは多岐にわたります。

  • 適正な見積作成と原価管理
  • 技術の「最適化」の実現
  • 受注力の増強による営業への注力
  • 新しい働き方への挑戦

まずは、適正な見積もり作成と原価管理の徹底から。Linkaで蓄積した機械稼働データを活用し、加工時間や実績を分析することで、適正な見積りの算出や工程の見直しを進めていく構想です。kintone側の受注・工程データと突き合わせれば、案件ごとの実績原価が見えてきます。そして、従来の課題だった人材育成にも本格的に乗り出したいといいます。

 

「標準化に取り組んでみてわかったのは、一品ものに標準化はないということです。代わりに目指すべきは『最適化』でした。同じように作ることではなく、その時々の条件から最適な加工を導ける力を育てたいと思います」と関社長。

 

稼働時間の内容が把握できれば、ロスタイムの要因を作業員とともに振り返り、加工のコツや考え方を伝えられます。その力が育てば工場の生産余力が増え、追加の受注も期待できるでしょう。

 

「拡大路線で考えるなら、第二工場も夢ではありません。それも社内データがクラウドで管理されていなければ実現できないことです。今回、先手を打ててよかったと思います」(関社長)

 

将来を見据えた行動には、1952年の創業以来、時代の荒波を乗り越えてきた関鉄工所の誇りが垣間見えます。

 

「人手不足が加速するなか、製造業は工場の魅力向上に迫られています。AIやロボットの普及を見据えた新しい働き方にも目を向けることが必要です。ただし、誰でもできるようになったときに動くのでは遅いんです。できるときにできることに取り組まなければ。収集したデータの利活用など、これからやっていきたいこともたくさんあります。新明和ソフトテクノロジさんにはますますの支援を期待します」と関社長は真剣な表情を見せました。

 

一品一様の真剣勝負に挑む関鉄工所にとって、真に必要だったのは加工の「標準化」ではなく、長年の技を生かす「最適化」でした。それをシステム基盤が下支えしていきます。

 

DXという確かな武器を手に、社員一人ひとりのポテンシャルを引き出す関鉄工所の取り組みは、製造業の新たな可能性を示してくれる好例でした。



引用:株式会社関鉄工所 環境経営レポート2025




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